蜘蛛ヶ淵の伝説
むかし、むかし、大徳院の坊さんが釣りざおをかつぎ、ぞうりをはいて、沢地川に釣りに来ました。天気もよく、魚もたくさん釣れたので、ビクはたちまちいっぱいになりました。
ふと足元を見ると、大きな蜘蛛が滝の淵から、坊さんのぞうりにせっせと糸をかけています。蜘蛛がどんどん糸をかけているので、坊さんは気味が悪くなりました。ひょいと、ぞうりをかたわらの樫(かし)の木にかけたところ、まもなく雷(かみなり)のような大きな音と共に、木は淵の中に引き込まれてしまったそうです。
坊さんは、びっくり仰天(ぎょうてん)。あわてて逃げ帰り、途中でビクの中をのぞくと、釣れたはずの魚がみんな笹の葉に変わっていたということです。
それからは、この淵を、蜘蛛が淵と呼ぶようになったそうです。
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