1. AED(自動体外式除細動器)とは?
心室細動と呼ばれる不整脈が原因で心臓が止まった時に、再び心臓を動かすために電気ショックを与える器械です。意識も呼吸もない方に、AED を装着すると、自動的に電気ショックが必要か判断を行い、指示を出してくれます。
AED の使用に免許などは不要であり、簡単なトレーニングを受ければどなたでも安全に使用することができます。
2. 市民による心肺蘇生/AED を用いた電気ショックの効果
心停止となった方を救命するためには、119 番通報、心肺蘇生(胸骨圧迫)、電気ショック、病院での救命処置が、すばやく行われることが重要です。中でも、主に市民の方に担っていただくことになる最初の3 つの部分がすばやく行われると、3〜4 倍救命率を改善するといわれ、病院到着後の処置よりはるかに重要であるとされています。
3. 簡単になった新しい心肺蘇生法
心肺蘇生法は世界共通の手技で、5、6 年に一度改訂され、国際的に標準化された方法が示されます。2005 年にこの改訂がなされ、心肺蘇生法が新しくなりました。キーワードは、「単純化」と「絶え間のない胸骨圧迫」です。
単純化:非医療従事者にとって、突然訪れる救急現場で心肺蘇生を実施するのはとても難しいことです。従来の心肺蘇生法は、救急現場で実行するには難しすぎるとの反省に立ち、「呼びかけに反応がなく、いつもどおりの呼吸をしていなければすぐに心停止と判断する」「胸骨圧迫の位置は胸の真ん中」など手技が大幅に単純化されました。
絶え間のない胸骨圧迫:胸骨圧迫を行うことで、止まっている心臓の代わりに血液を脳や心臓などに送り出すことができます。最近の研究で、心肺蘇生法の中でも、特に胸骨圧迫を強く・絶え間なく行うことが重要であることがわかってきました。そのため、新しい心肺蘇生法では、従来15:2 で行っていた胸骨圧迫と人工呼吸の比を30:2と変更するなど、胸骨圧迫の重要性が強調されています。また、人工呼吸は手技的に難しい上、抵抗感もあるため、省略して胸骨圧迫だけでもよいとされるようになりました。
トピック : 心臓しんとう
心臓しんとうと呼ばれる突然死をご存知ですか?野球のボールなどが胸に当たった際、強い衝撃を受けた心臓が心室細動をおこして亡くなってしまうものです。つい先日も、高校野球のピッチャーが胸に打球を受け、心臓しんとうとなりましたが、学校に設置されていたAED を用いて、観客の一人だった救命士が心肺蘇生と電気ショックを行い、一命を取り留めました。心臓しんとうをはじめとしたスポーツ中の突然死は、普段元気な人にも、子供にも起こりうるもので、決して少なくありません。スポーツを安全に楽しむためにも、心肺蘇生法は必要な知識です。
*AEDを用いた心肺蘇生法について解説します
@ 人が急に目の前で倒れたり、倒れた人を発見した場合、反応がなければ応援を求め、119 番通報するとともにAEDがあれば持ってきてもらいます。
A 普段通りの息をしていなければ「心停止」と判断し、心肺蘇生(右上図)を開始します。
・ 可能であれば人工呼吸を2回行なってください。
・ ただちに胸骨圧迫(心マッサージ)を開始します。
・ 胸骨圧迫30 回と人工呼吸2 回を繰り返します。
*人工呼吸ができなければ胸骨圧迫のみでかまいません。
B AEDが到着したら、電源を入れ、AEDの指示に従います。
服を脱がせ、電極パッドを図示されているとおりに貼り付けます(右図)。
パッドが一歳児未満用とそれ以外用の二種類あることを知っておく必要があります。
C AEDが『電気ショックが必要』と指示した場合は、安全を確認し電気ショックを実行します。
電気ショックを実行する前に自分・周りの人が感電しないように離れているか確認します。
*電極パッドを装着している間も、AEDが離れるように指示するまで胸骨圧迫は継続します。
*電気ショックのボタンを押す際は安全確認を忘れずに! 「自分・あなた・まわりのみんな」
*AEDが『電気ショックは必要ありません』と指示した場合、必ずしも心臓が動き出したとは限りません。
動き出すなどの反応がなければ、「心停止」と判断し、AEDの指示に従って心肺蘇生を再開してください。
「心停止」かどうか迷ったら、即刻、心肺蘇生を開始してください。
*AEDは一旦装着したら、救急隊に引き継ぐまで作動させたままにしておきます。
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