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初姫神社の鳥居

初姫神社のクスノキ

初姫神社の本殿

初姫神社
延喜式に載っている全国神名帳によると伊豆国には式内社が９２座あった。９２座の中田方郡に２４座あるが、その中の一座が初姫神社で「金村五百村咩命神社　函南仁田」と出ている。函南町内にある神社の内、式内社で郷社は初姫神社だけである。
式内社　伊豆國田方郡金村五百村咩命神社
神社名：初姫神社（はつひめじんじゃ）
鎮座地：田方郡函南町仁田587番地　　伊豆箱根鉄道・伊豆仁田駅の東７００ｍほどの仁田に鎮座。
……狩野川に流れ込む来光川、柿沢川の合流地点の近くに鎮座している。
御祭神　：金村五百村咩命
幼稚園の西隣り、というよりも当社境内の中に幼稚園がある。
境内入口は南向き。
石の垣に囲まれた三角形の境内には、スベリ台などの遊具が置かれているがこれも幼稚園の設備だろうか。
『伊豆国神階帳』に「従四位上　たわらの明神」と記されている神社で式内社・金村五百村咩命神社に比定されている古社。
金村五百村咩命神社とは変った名前だが、同じく田方郡の式内社に金村五百君和氣命神社という社があり両社の祭神は夫婦か兄弟であるとする説がある。
この場合、金村五百村咩命の「村」は「比」の誤字と考えられ、本来は金村五百比咩命神社だったという。
また、一説には「金村」とは金谷という地名から採られ「五百村」とは、多くの集落。つまり金村五百村咩命神社とは金谷という地の多くの集落の集まった場所にある姫神を祀る神社という意味だという説。
享保四年の棟札には「楊原明神」と書かれており江戸時代には楊原明神と呼ばれていたが明治六年、郷社に列せられた時点で古称・初姫神社に戻したという。
明治から昭和２０年までは例祭当日小学校は休みになるほどの由緒ある社であった。
また神事の祭は雅楽が奏でられ賑やかに執り行われていた。
【境内社】
神明社・八坂神社・床浦神社・王子神社・山神社・御嶽神社・金山社・稲荷社
【初姫神社のクスノキ】
樹高　３２ｍ　目通り幹囲　５．８ｍ　推定樹齢　３００年以上

上記図は、Flood maps(Google)を使って海抜が13mであった頃の函南町南部の陸地部を粗く描いたものである。縄文時代の天地の大異変と言えば「縄文海退」であり、ピーク時海抜23m内外であった海が退き始め海抜が13m位に海が退いた時代の地形と理解していただきたい。

その後、縄文海退により田方平野は広がって行き、現在の駿河湾の喫水線まで進行して行く訳だが、海が退いたからと言って塩分が含まれる土壌であり、直ぐに田畑が形成できるものでは無い。田方平野には狩野川をはじめ、狩野川へそそぐ支流群が形成され、函南町柏谷南部には狩野川本流が迫っていたと伝えられている。狩野川が南から北へ、東西に激しく蛇行を繰り返し土砂を堆積させ田方平野を形成して行った。

上記の赤丸で囲まれた柏谷橫穴群や神社は標高13m以上の高台に立地していることに着目していただきたい。人々は洪水被害から免れる配慮をして来たのである。何千年も時が経過し海や川が遠のいて田方平野に田畑が形成されても、祖先の言い伝え(口伝)を忠実に守り伝えて来た証左である。

逆に考えれば、余りにピタリと喫水線を避けた立地条件が全社揃って符合することから函南町の原初的自然崇拝が勃興し始めた時期が海面が標高13mになった時代と推評され自然崇拝の祈りの場に、後代の社が建てられ神社境内の社叢が連綿と維持管理されて来たと言い換えることが出来そうである。実際の神社が創建されたのは平安後期から鎌倉時代前期頃だと思われるが、鎮守の杜と称される神聖視される場所は縄文時代の海退進行中の時代に既に確定されていたことを上図は示している。

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